映画『BLUE GIANT』を観て泣く

先日、映画『BLUE GIANT』を観てきました。とんでもなく泣いてしまい、少なくとも2023年最高の映画でした。3月時点で、確定ですよこれは。

原作は、漫画の『BLUE GIANT』ですが、私は1コマも読んだことがありません。一時期、漫画『BLUE GIANT』のテレビCMが放送されている時期があったのと、漫画紹介系のテレビ番組(例えば、王様のブランチの漫画コーナーみたいなやつ)で得た情報くらいだったと思います。具体的には、ジャズが題材である、主人公はサックス、仙台が舞台の場面があること、主人公が世界に打って出ているくらいでした。

映画は、仙台の頃の話は最小限にされており、東京に出てきてからの話がメインとなっていました。ということで、自分の知っている情報はほとんどありませんでした。

そんな中で、どうして作品に興味を持ったのかというと、まず勘です。

次に、上原ひろみが劇中音楽にコミットしていること。まあこれはそうでもなかったんですが、演奏メンバーのドラマーが石若駿であること。こっちが決まり手になりました。

あと、佐久間さん(佐久間宣行)が、激賞していたのもありました。僕が観たのは、佐久間さんがラジオで触れる前でしたが。

映画でやることにこだわったのが、映画館の音響で堪能してほしいというのがあったとおり、映画全体の中でも大きな割合を占める演奏シーンの迫力・臨場感・熱っぽさが素晴らしかった。これだけで、十分な価値があります。

そうは言っても、演奏だけでは、残念ながら私は泣きません。例えば、サントラはサブスクでも聴けますが、劇中曲を聞いてみても、「おうおうおう、この曲、この曲」みたいな気分にはなりますが、泣くほどではありません。

私に取っての泣くポイントは、主人公が組むバンド「JASS」のドラマーとなる、玉田です。玉田は、音楽に関しては素人で、ドラムをゼロから学んでいく訳です。その成長過程の描かれ方が、とにかく抜群でした。

映画『BLUE GIANT』の中では、とにかく関わる人との会話、いや会話というか、交わす言葉の質ですね、熱意や感情を表すのに用いられる言葉のチョイスが、本当にスゴいなと思ったのです。あまりにも洗練されており、言葉の持つパワーの加減が絶妙で、一言一句違わず共感できたり、その場面でかけてほしい言葉選手権があれば100点満点中1500点くらいを獲得してぶっちぎりで優勝です。玉田が、とある人物からかけられる言葉が、この1500点を記録するのですが、もうそれそれは素晴らしく、映画を観たあとに昼食のために入ったサイゼリヤで、その場面を思い出しては涙して、とてもドリンクバーどころではありませんでした。

そういう、感動の絶頂を記録した場面があるのですが、言葉の端々に心を突き動かされ、それが進化していく演奏に乗っていき、感動が増幅されるという感じでした。1500点を記録して以降は、もうだいたい泣いていたと思います。

そのまま最後まで最高でした。最高だったので、パンフレットを買いました。レコードジャケットのような形(サイズ)になっていて、カッコいいです。

音響にこだわったゆえに、円盤化されなかったら、寂しいですね。円盤が出たら、間違いなく買いますわ。

映画に対する評価の中に、演奏シーンの3Dを批判するものが多いという噂を聞きました。私は、特に気になりませんでした。てか、、集中できていないんじゃないの、そういう人と思いました。

というわけで、とてもよかったのです。劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に勝るとも劣らないレベルだったと感じました。マジで。ありがとうございました。

それでは。

劇中曲「N.E.W.」ライブシーン