危うき日本語

電車に乗っていて、よく中吊り広告等の広告に目を奪われるのですが。
とっても衝撃的な広告がありまして。
某有名シャンプーのものです。
今のところ、2種類ありまして、2種類とも衝撃的なので、ご紹介申し上げます。
1)
足を広げて座る人はイヤ。
静電気で広がった髪はもっとイヤ。
2)
堂々と新聞を広げる人はイヤ。
静電気で広がった髪はもっとイヤ。
衝撃を受けた、まぁつまりは違和感なんですが、この比較構文です。
気持ち悪さ最強です。
その理由は、いずれに関しても、一文目の問題の発端は他人にあり、静電気による問題は問題の発端が自分にある、極めて厳密に言うと、他人は無関係であるということです。
その事実に着目(とはいえ、おおむね誰でも簡単に気がつけてしまえるレベルのように感じますが)すると、比較の対象が同格ではないということに気がつきます。
だって、これはつらいですよ。なんたって、比較を成立しているものと解釈するためには、2つともイヤなものとして解釈されなければなりません。
今回の場合は、正しくは一文目の人と静電気を並べなければなりません。
その結果、二文目を「髪が広がる原因の静電気はもっとイヤ」というのが、日本語として紹介のコピーよりは親切でしょう。
ただ、背景を考えると、このシャンプーを売り込みたい理由として、(主に女性にとって)静電気そのものは関心は少なく、髪が広がることにスポットが当たっている訳なんですね。
僕の提示したコピー案は、ターゲットとするべき消費者に的確にリーチする表現ではない可能性が高いのです(髪ではなく、静電気にスポットが当たっているため)。
難しいですね。
でも、僕の違和感は消えないでしょう。
ラックスを使っているオーバータイムでした。