5年も待たされたんだ…

買いました。私は、福山雅治が好きなんですね。
先日の小学校の出前で、「演歌で、誰が好きですか」と質問をされたので、「演歌はあんまり聴かないな。でも、福山雅治が好きだよ」と返答し、「しらねえ~」と言われたことが忘れられない。
そんなことはどうでもよいが。
別に、最初から好きだったわけではない。「IT’S ONLY LOVE」が私の小学校の頃の、ダイドーブレンドコーヒーのCMでかかっていたこと、「HELLO」が大ヒットしたことくらいしか記憶にない。
本格的にその存在を認知したのは、高校2年の年が変わる1月だったはず。いまや長寿番組となった「福山雅治の魂のラジオ」が始まったときであった。
その時間帯は、私にとっては「ドリアン助川の正義のラジオ ジャンベルジャン」であり、それ以外は考えられなかった。しかし、終わってしまったのである。時間のやり過ごしようがないので、そのままいわば惰性で聴いていたのだ。
現金なもので、さすがラジオパーソナリティー暦が長い福山雅治である、聴いていればだんだんと面白くなってくるのだ。
そうは言っても、彼の本業である音楽の作品は手に取ることはなかった。
気がついたら、「魂のリクエスト」、略して「魂リク」のコーナーが始まっていた。リスナーがエピソードとともに寄せたリクエスト曲を、福山雅治自身が生歌・生ギターで演奏するのである。
それでも、最初はさすがだなぐらいのものであったのである。
ある日、中島みゆきの大ヒット曲「空と君のあいだに」のカップリングである「ファイト!」がリクエストされた。若き日の記憶を頼りにすれば、チオビタドリンクかなんかのCM曲だったはずだ。
その歌に、非常に勇気付けられたことを今でも覚えている。
それから、もっと積極的に福山雅治を考えるようになった。日曜の夕方にはFMラジオの番組も家にいれば必ず聴くようになった。
一番の衝撃は、やはり「魂リク」にて起こる。
「友よ」という曲を歌ったのだ。この時には、すでに大学生だったと思う。
長い曲ではないのだが、友人のことを思う気持ちがダイレクトに伝わり、感動した。
その後、特に変わったこともなく生活していたが、その「友よ」という曲をまた聴きたいと思ったのだ。
探した。福山雅治の「f」というアルバムに収録されていた。
そのときには、「桜坂」も世に送り出しており、私はそのカップリングだった「家路」が結構好きで、シドニーオリンピックの取材をする福山雅治なども見ていたのである。
信じられないぐらい長期にわたって、ずっと「f」を聴いていた。
決してCDを発売するペースは早くないが、ラジオで初オンエアされるたびに、曲に込めた思いを語る福山雅治は素直にかっこいいと思えた。
私が思う福山雅治の歌は、
友人に対する深い信頼
恋の難しさ
に集約されると思う。
特に後者は、福山雅治自身ラブソングらしいラブソングを歌っていないことをラジオで話していたことを覚えている。歌詞を見てみても確かにそのとおりだと感じた。
「うまくいけばいい」。確かにそれだけの話なんだが、その難しさと、その高い価値を見出しているからこそ作り上げられる曲の世界なのではないかと思っている。
それを反映してか、福山雅治自身、まだ独身である。
価値観の多様性は、多くの曲が何らかのタイアップを得ることからも見て取れる。まぁ、すべてのCMやドラマにぴったり当てはまっているかはわからないが。
実際、バイクや写真と本人のチャンネルも幅広い。
私にとっては、まさに理想的な価値観の広がりを見せる人なのである。
私は、CDを手に取ること自体、5年待ったわけではないが、その中に詰められた5年分の作品は実に味わい深い。